アジアフォーカス・福岡国際映画祭2020(4)犯罪現場|A Witness Out of the Blue

アジアフォーカス3本目はクライム・アクションの香港映画『犯罪現場』。『ドラッグ・ウォー/毒戦』のルイス・クー主演です。

近年、日本の映画館で上映されるアジア映画の幅がぐっと広がり、韓国映画やインド映画などにもコアなファンが大勢いらっしゃいますが、90年代まではアジアと言えば中国映画か香港映画が主流でしたよね。より大衆的なテイストなのが香港映画で、80年代のジャッキー・チェンから、80年代後半『男たちの挽歌』で香港ノワールに火がつき、90年代に入るとウォン・カーワイで新しいブームが起きて。私もだいたいその洗礼を受けていて、新宿の映画館でレスリー・チャン特集をオールナイトで見たり、プレノン・アッシュにほんのり憧れたりしました。あぁ昔話は楽しいな(笑)。

そんな香港映画への愛も『インファナル・アフェア』あたりから更新が滞りがちに。最近見たのだと『イップ・マン』シリーズぐらい?『ドラッグ・ウォー/毒戦』はジョニー・トー監督だったし、面白かったのを覚えています。ルイス・クー、人気俳優なんですねぇ(今更)。(ちなみに韓国映画『毒戦 BELIEVER』『ドラッグ・ウォー/毒戦』のリメイク。)

『犯罪現場』でルイス・クーが演じるのは主人公ですが事件の犯人側です。とは言っても、根っからの悪人ではなく、観客が感情移入できるキャラクター。仲間が殺害され、その唯一の目撃者がオウム(鳥)という面白い設定ですが、残念ながらあまり活かされていなかった気がします。主人公が身を隠す下宿の大家(女主人)が目が不自由で…というエピソードもでてきて、監督としては「目」や「見ること」に物語の鍵を置きたかったのかなと思います。


なんせ半年以上前に見たので細かいところは忘れてしまっていて(ごめんなさい)、ちょっと強引かなと思ったような気もする(曖昧)けど、全体的にはとてもおもしろかったです(どないやねん)。前日に見た2本が、ドキュメンタリータッチの静かな映画と、ドキュメンタリー映画だったので、エンタメを見た!という充実感あり。ルイス・クーはもちろん、キャストのみなさん魅力的でした。フォン・チーチアン監督は、2018年に続いてアジアフォーカス2度目の観客賞をこの作品で受賞。

もともと上映に寄せたビデオ・メッセージに加え、観客賞受賞の喜びのメッセージも寄せてくださっています。個人的にはコロナ禍のことよりも、昨今の政治状況と映画製作への影響について聞いてみたいのですが、オープンに話すのは難しいのでしょうかね。とにもかくにも、おめでとうございました。

『犯罪現場』A Witness Out of the Blue
2019年/香港/104分
監督: フォン・チーチアン
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