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映画祭参加2日目、午前中に見たのはカナダのドキュメンタリー映画『Because We Are Girls』。ブリティッシュコロンビア州に暮らす、インド系ファミリー。幼いころ親戚の男性から性暴力を受けた(受け続けた)三姉妹が声を上げる姿を追った作品です。
上映が始まってから気づいたのが、BC州はカナダでも英語圏なので、映画に登場する人たちもみんな英語を喋っています。なので、韓国語の字幕は付いているけど英語字幕はなく(一部、インドの言葉(おそらくヒンズー語?)を話しているシーンは英語字幕あり)、一瞬しまった!と思ったものの、とても聞き取りやすいクリアな発音でなんとかついていけた…と思う(笑)。
過去の出来事を語る三姉妹は、それぞれもう中年になっていて、結婚していたり、大きな子どもがいたりします。そんな彼女たちが重い口を開いたのは、かつて自分たちを酷く傷つけた人物が、今も同じように他の女性に加害を続けている事実を知ったから。これ以上の被害者を生まないために、そして、あったことをなかったことにせず、声をあげて闘うという生き方を自分の娘に示すために、四半世紀近く前の辛い記憶を告白する決意をしたのです。
三姉妹のうち、長女と次女はそれぞれ結婚したものの、長女は結婚生活がうまくいかず、また、三女は男性とセンシュアルな関係を結ぶことにずっと抵抗感を持っていると打ち明ける場面も。性暴力が、被害者の一生をどれほど苛み続けるか、怒りを覚えずにいられません。
作品の後半、もっとも胸を締めつけられるのが三姉妹が両親と対峙するシーンです。両親は性暴力が行われていたことを知りながら、「彼(加害者)に近寄らないように」と言うだけだったと。それがどれほど彼女たちを傷つけ、絶望させたか。
両親とて娘を愛していなかったわけではなく、ただ、どうしていいかわからなかったのでしょう。自分たちはインドの伝統的な価値観のもとに生まれ育ち、カナダに移住してからは、親類・縁者同士で支えあって異国の地で生きてきた。その背景や事情は理解できます。でも、娘にすれば守って欲しかったよね。他の誰よりも、お父さん、お母さんに。だって一番の庇護者じゃないか。(今、ブログを書いていても涙が出てくる…。)
とてもとても重たいテーマながら、映画としては非常に見やすく作られており、カナダの小さな町の美しい風景や、三姉妹が幼い頃親しんだであろうインド映画の楽しげなシーンが挿入されます。
この映画の感想を書こうとして中断して、そのあと釜山の映画祭にも行ったりして、気がついたら4ヶ月が経っていました。最近の象徴的な出来事のひとつが、ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力を訴えた裁判の判決。世間の反応を見ていると、ここ日本でも性暴力の被害者が声を上げることがどれほど困難なのかと苦しくなってきます。
ソウル国際映画祭では、伊藤さんの事件を扱ったドキュメンタリー『Japan's Secret Shame』も上映されていました。滞在日が上映日とずれて映画祭で鑑賞することはかないませんでしたが、韓国の、特に若い女性たちがそれを見てどのように感じるか、聞いてみたかったと思います。
Because We Are Girls
2019
Canada
Director:Baljit SANGARA
◎ 予告編動画|Because We Are Girls (Trailer)
上映が始まってから気づいたのが、BC州はカナダでも英語圏なので、映画に登場する人たちもみんな英語を喋っています。なので、韓国語の字幕は付いているけど英語字幕はなく(一部、インドの言葉(おそらくヒンズー語?)を話しているシーンは英語字幕あり)、一瞬しまった!と思ったものの、とても聞き取りやすいクリアな発音でなんとかついていけた…と思う(笑)。
過去の出来事を語る三姉妹は、それぞれもう中年になっていて、結婚していたり、大きな子どもがいたりします。そんな彼女たちが重い口を開いたのは、かつて自分たちを酷く傷つけた人物が、今も同じように他の女性に加害を続けている事実を知ったから。これ以上の被害者を生まないために、そして、あったことをなかったことにせず、声をあげて闘うという生き方を自分の娘に示すために、四半世紀近く前の辛い記憶を告白する決意をしたのです。
三姉妹のうち、長女と次女はそれぞれ結婚したものの、長女は結婚生活がうまくいかず、また、三女は男性とセンシュアルな関係を結ぶことにずっと抵抗感を持っていると打ち明ける場面も。性暴力が、被害者の一生をどれほど苛み続けるか、怒りを覚えずにいられません。
作品の後半、もっとも胸を締めつけられるのが三姉妹が両親と対峙するシーンです。両親は性暴力が行われていたことを知りながら、「彼(加害者)に近寄らないように」と言うだけだったと。それがどれほど彼女たちを傷つけ、絶望させたか。
両親とて娘を愛していなかったわけではなく、ただ、どうしていいかわからなかったのでしょう。自分たちはインドの伝統的な価値観のもとに生まれ育ち、カナダに移住してからは、親類・縁者同士で支えあって異国の地で生きてきた。その背景や事情は理解できます。でも、娘にすれば守って欲しかったよね。他の誰よりも、お父さん、お母さんに。だって一番の庇護者じゃないか。(今、ブログを書いていても涙が出てくる…。)
とてもとても重たいテーマながら、映画としては非常に見やすく作られており、カナダの小さな町の美しい風景や、三姉妹が幼い頃親しんだであろうインド映画の楽しげなシーンが挿入されます。
この映画の感想を書こうとして中断して、そのあと釜山の映画祭にも行ったりして、気がついたら4ヶ月が経っていました。最近の象徴的な出来事のひとつが、ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力を訴えた裁判の判決。世間の反応を見ていると、ここ日本でも性暴力の被害者が声を上げることがどれほど困難なのかと苦しくなってきます。
ソウル国際映画祭では、伊藤さんの事件を扱ったドキュメンタリー『Japan's Secret Shame』も上映されていました。滞在日が上映日とずれて映画祭で鑑賞することはかないませんでしたが、韓国の、特に若い女性たちがそれを見てどのように感じるか、聞いてみたかったと思います。
Because We Are Girls
2019
Canada
Director:Baljit SANGARA
◎ 予告編動画|