第24回釜山国際映画祭(6)Aladin

1953年にインドネシアで製作された映画『Aladin』の復元版を、第24回釜山国際映画祭で鑑賞しました。

実はこの作品を選んだのは、チケット予約時に空席があったからという理由。映画祭公式サイトの作品紹介も読んでおらず、前知識が全くない状態で劇場に。

そして始まった白黒映画。映像がなんかカクカクしてるし、音もところどころ飛んでるし。ランプの妖精やプリンセスが登場するから、きっとアラビアンナイト(千夜一夜物語)の「アラジン」なんだろうけど、馴染みのあるディズニー版アラジンとはかなり違うぞ…これは一体?

上映後、場内が明るくなったので急いで映画祭のカタログを開きます。ようやくこれが、60年以上前の古い映画の復元版なのだと認識。Q&Aセッションに登壇されたのは、監督や出演俳優ではなく(当たり前か)、復元プロジェクトに関わられた女性の方でした。




会場からの質問も映画の内容ではなく復元作業の関するものがほとんど。うまく聞き取れず理解できない部分も多々ありましたが、インドネシアでは1990年以前は映画製作が非常に難しい状況にあったとおっしゃっていたのが印象に残りました。

今年(2019年)、日本で一般公開されたインドネシア映画『マルリナの明日』を見たときに、インドネシア映画事情に興味が湧いていろいろ調べたところ、スハルト政権時(1968〜1998年に渡る独裁政治)には検閲がかなり厳しかったことをあらためて知りました。「映画製作が非常に難しい状況」という言葉の背景にはそういう社会環境があったのでしょう。

ちなみにこの復元版『Aladin』、インドネシア国内では11月下旬から上映ツアーが始まる予定とのこと。


映画そのものは期待していたものとは少し違ったけれど(笑)、インドネシア映画からはやっぱり目が離せないな〜と思える体験になりました。

Aladin
1953
Indonesia
Director:Sing Hwat TAN


◎インドネシアの映画事情に関する参考記事
国際交流基金アジアセンター|
インドネシア映画の新たな潮流
ガリン・ヌグロホー挑戦するシネアスト、飽くなきインスピレーションに導かれて