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映画祭で見た映画の感想を年内にアップしたいと思いながら、あっという間に迎えた大晦日。時の流れが速いのか、わたしの筆が遅いのか…。
今回の釜山で鑑賞したのは、日本映画の『千夜、一夜』。1泊2日、早朝便で帰国というスケジュール、コロナ禍以降初めての海外渡航でもあり、1本に絞りました。すでに日本での一般公開も終わっている作品なので、あらすじ紹介と感想は省いて、韓国のお客さんの反応を書き残しておきます。
平日の20時過ぎの上映ということもあってか、お客さんの入りは半分くらいだったかと思いますが、上映後のQ&Aセッションには久保田直監督が登壇し、「60歳の新人監督です」という自己紹介から始まりました。この日は英語通訳はなく、観客が韓国語でした質問を、韓日の通訳さんが監督の耳元で日本語に訳し、監督がマイクを通して日本語で答えるという形での進行。韓国語がほぼ聞き取れない私は、監督が答える内容から元の質問を想像しながら聞いていました。
物語の重要な要素に「北朝鮮による拉致問題」と「特定失踪者(拉致の可能性を排除できない失踪者)」があります。韓国の人たちどう受け止めるかな?と思って見ていましたが、拉致問題に関する直接的な質問は(おそらく)なく、映画のシーンやキャスティングに関する質疑応答がありました。
会場からは「映画祭で見た映画のなかで最も印象的」という感想もあり、「いやいや、開幕2日目で、まだそんなにたくさん見てないでしょ~?」とつい心の中でツッコミつつ、こんなふうに作品に関する真摯な質問や感想をたくさん聞けることが、私が韓国の映画祭に通いたくなる理由だと改めて思いました。
先日、友人とお茶しながら「韓国の映画祭って、映画を見る人、作る人を育てようとしていると思う」という話をしました。観客だけでなく映画祭の運営にあたるボランティアスタッフにも若い人が多く、その対応の様子を見ていても、準備段階からしっかり関わりを作っているんだろうなと感じられることがあります。
ここ数年、世界的な注目を浴びる機会が増えた韓国映画・ドラマの躍進の背景に迫る日本のTV番組(★)でも、業界が人材育成を重視していることが紹介されていました。映画を見る人、映画を作る人を育てることは、産業自体の未来への投資。そういった意識が、映画祭のプログラムや雰囲気にも流れている気がします。
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NHK クローズアップ現代(2022年6月)|是枝監督が探る韓国コンテンツの強さの秘密
NHKBSプレミアム(2022年11月)|韓国ドラマ 世界的ヒットの秘密 〜密着 企画制作の現場〜