第20回全州国際映画祭(13)Set Play

短編小説を元にした韓国映画『Set Play』は、低所得者向けの高層アパートに暮らす少年の物語。出会い系サイトで知り合った相手を脅迫して小遣い稼ぎをする主人公。家に帰ると障がい者の兄の介護が待っている。父親は出て行ったきり。

貧困と、暴力と。どこにも救いがなく、見ていると胃がキリキリしてくるような作品。

まちを見下ろすように林立する高層住宅の映像が何度も挿入されます。監督はこれを「彼らにとって、抜け出せない、監獄のような場所」であるとQ&Aセッションで語っておられました。



この時も会場内で通訳が必要だったのは私だけで、通訳さんが隣に座ってくれてほぼ同時通訳状態。せっかくなので挙手して質問してみました。(海外映画祭で記念すべき初質問!)

高層住宅群と同じくらい、交差点のシーンが多く印象に残っていますが、何か特別な意味を持たせたのでしょうか?と尋ねると、高層住宅群は「もう一人の登場人物」的な存在として捉えており、それと同じく、交差点などの風景描写は映画の中で重要な要素として扱っている、人々が都市空間を徘徊しているように描きたかった、とのこと。

字幕や通訳を拾い切れない部分もあったので、韓国の住宅事情を後からググってみたのですが、なかなかピンとくる資料が見つけられず。映画化にあたって、監督が作品を全て読んでファンになったという原作者の名前を確認するのも忘れた〜。

韓国のメジャー系映画が日本でたくさん公開されるようになったけど、いわゆるインディペンデントフィルムと呼ばれる作品に出会う機会があるのも、映画祭の楽しみの一つと思います。

2日間4作品、本当に堪能しました!

Set Play
2019
Korea
Director: MOON Seung-wook