第23回釜山国際映画祭(10)They Sing up on the Hill

















映画祭2本目の鑑賞作品は

『They Sing up on the Hill』
モンゴルの首都ウランバートルで暮らす
若いミュージシャンの物語で
時代設定は現代です。


実は私、20年近く前に
ウランバートルを訪れたことがるんですが
この作品の中で映し出される
ウランバートルの風景に
えええええ?????って
目がスクリーンに釘付けになりましたよ。

ものすっごい大都会になってるの!びっくり〜。

主人公オドは、かつてはヒット曲もありながら
今はいまいちパッとしないミュージシャン。


彼が演奏する音楽も
(いわゆる普通の)ロック/ポップスだし
友だちと一緒に曲を作ったり
クラブに遊びに行ったりするシーンに
いろんな音楽が使われているんだけど
EDMからヘヴィメタル、ヒップホップまで
本当に多様だし
世界の(というか欧米の)で流行っている音楽と
なんら変わらない印象を受けました。

一方で、彼らの親の世代が
モンゴルの伝統的な歌を
美しく力強くうたうシーンもあります。

大都会ウランバートルから
主人公が逃避行(?)する先では
草原で小さな男の子が馬にまたがっていたりと
モンゴルという国の多面性
新世代と旧世代、都会と地方とが
音楽という軸を中心に紡がれていく。

これもまた、上映後のゲストトークで
印象的なお話がたくさんありました。

・モンゴル、といえばチンギスハンやゴビ砂漠を
思い浮かべる人が多いと思うがそれだけではない
さまざまな角度から見た今のモンゴルを描いた。

・(イギリス人のプロデューサーいわく)モンゴルの人は
みんな歌がうたえる、そしてたくさんの歌を知っている。

・急激な環境の変化の中にあるモンゴルで
もちろん難しい社会問題もたくさんあるが
今回は意図的に明るい面に焦点を当て
ハッピーエンドの物語としてつくっている。
どちらのやり方(暗い方を見せるやり方)もあると思う。
大切なのは決して一面だけではないということと
見せ方、方向性をきちんと選んだということ。

やっぱりこういう作り手の思いを聞けるって
いいなー。映画祭に来てよかった。

監督がチラリと言ってたことでもあるんだけど
人口300万の国で映画を製作して
ヒットしたとしても収益も限界があると。

いつも予算の悩みはつきもので
だからこそ、海外マーケットも視野に入れつつ
モンゴルの今をどう見せていくか
めっちゃ考えたんじゃんじゃないかな。

They Sing up on the Hill
Mongolia/United Kingdom
2018
Director: Bat-Amgalan LKHAGVAJAV, Ian ALLARDYCE

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