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第10回カンボジア国際映画祭のラインナップは、タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をはじめとするハリウッド映画、『パラサイト』『82年生まれ、キム・ジヨン』といった韓国映画の話題作など、観客を呼びこめそうな人気作品がしっかり確保されている一方、ベトナム、タイ、フィリピン…と東南アジアの作品も当然たくさん並んでいました。製作国はカナダやフランスになっていても題材はアジアという作品もいくつかあり、プレスリリースによると44ヵ国157作品が上映される予定とのことでした。
東南アジアの映画はまだまだ日本に入ってこず、見てみたいと思う作品がたくさんあり悩みましたが、せっかくここまで来たのだから、やっぱりカンボジアの映画を。選んだ1本目は、「Flavor of Amok」という上映時間26分のショートフィルムです。
メコン川流域の水上集落。生活調度品の様子などから時代設定は現代らしいのですが、なにせ英語字幕がめちゃくちゃ速くて全くついていけない!どうやら若い男女の恋愛物語のようで、女の子が誰かに乱暴され、男の子がその犯人と疑われコミュニティを追い出されてしまうという、大筋だけ何とか掴めた感じ。悲恋ものではありますが、映像が本当に美しい。
後から調べてみたところ、13世紀、中国からカンボジアを訪れた周達観(外交官の名前)が記した『真臘風土記』に影響を受けて作られたお話のもよう。『真臘風土記』によると、当時のカンボジア(アンコール)の風習には、年頃の女子の処女を僧が奪うという(「処女を奪う」って表現は好きじゃないのですがとりあえず)、"Zhentan"という儀式があったらしい。さらにその儀式のあと、僧は謝礼を受け取り、家族はお祝いをするのだとか。
そう言えば映画の中盤に、家族・親戚が集まって、女の子は別室で横たわっていて、おじさんが1人出たり入ったりするシーンがあったっけ。女の子が妊娠していて、おじさんはお医者さんなのかと勘違いしてたけれど、あれがいわゆる"Zhentan"で、おじさんはお坊さんだったのか。これでつながった!
つながってわかったのはいいけど、悲しい物語であることに変わりはなく、また、そういった性的規範や宗教儀式も、今の自分の感覚では全く理解できない。それでも、日本ではまず見る機会のないような映画だし、あれこれ調べて物語が見通せた瞬間が本当に楽しいなって思うのです。
ちなみにAmok(アモック)というのは、バナナの葉でカレーを包んで蒸す料理。映画の中に出てきますが、たまたま前日の夕食で食べていたため、おおお!となりました。
残念ながら、監督や俳優の詳細情報にはたどり着けず。映画の製作が中国と記載されていたので、監督は中国をベースに活動している人なのかも?
ピカピカのシネコン、入場時には手指の消毒をしっかりうながされ、上映前には映画祭スタッフがクメール語、英語の両方で挨拶。冷房が効き過ぎていて、上着を羽織っても寒かったな。観客は私を入れて5人くらい。予定されていたゲスト登壇は実施されず(取り止めというアナウンスもなし)。もし監督が中国在住だったなら、時期的に渡航が難しかったのかもしれません。
『真臘風土記』の日本語訳を読んでから、もう一度、見直してみたい気もします。
Flavor of Amok
2019
China
Director: Sey Sambath Sipsinapanh
◎ 予告編
Trailer - Flavor of Amok
東南アジアの映画はまだまだ日本に入ってこず、見てみたいと思う作品がたくさんあり悩みましたが、せっかくここまで来たのだから、やっぱりカンボジアの映画を。選んだ1本目は、「Flavor of Amok」という上映時間26分のショートフィルムです。
メコン川流域の水上集落。生活調度品の様子などから時代設定は現代らしいのですが、なにせ英語字幕がめちゃくちゃ速くて全くついていけない!どうやら若い男女の恋愛物語のようで、女の子が誰かに乱暴され、男の子がその犯人と疑われコミュニティを追い出されてしまうという、大筋だけ何とか掴めた感じ。悲恋ものではありますが、映像が本当に美しい。
後から調べてみたところ、13世紀、中国からカンボジアを訪れた周達観(外交官の名前)が記した『真臘風土記』に影響を受けて作られたお話のもよう。『真臘風土記』によると、当時のカンボジア(アンコール)の風習には、年頃の女子の処女を僧が奪うという(「処女を奪う」って表現は好きじゃないのですがとりあえず)、"Zhentan"という儀式があったらしい。さらにその儀式のあと、僧は謝礼を受け取り、家族はお祝いをするのだとか。
そう言えば映画の中盤に、家族・親戚が集まって、女の子は別室で横たわっていて、おじさんが1人出たり入ったりするシーンがあったっけ。女の子が妊娠していて、おじさんはお医者さんなのかと勘違いしてたけれど、あれがいわゆる"Zhentan"で、おじさんはお坊さんだったのか。これでつながった!
つながってわかったのはいいけど、悲しい物語であることに変わりはなく、また、そういった性的規範や宗教儀式も、今の自分の感覚では全く理解できない。それでも、日本ではまず見る機会のないような映画だし、あれこれ調べて物語が見通せた瞬間が本当に楽しいなって思うのです。
ちなみにAmok(アモック)というのは、バナナの葉でカレーを包んで蒸す料理。映画の中に出てきますが、たまたま前日の夕食で食べていたため、おおお!となりました。
残念ながら、監督や俳優の詳細情報にはたどり着けず。映画の製作が中国と記載されていたので、監督は中国をベースに活動している人なのかも?
ピカピカのシネコン、入場時には手指の消毒をしっかりうながされ、上映前には映画祭スタッフがクメール語、英語の両方で挨拶。冷房が効き過ぎていて、上着を羽織っても寒かったな。観客は私を入れて5人くらい。予定されていたゲスト登壇は実施されず(取り止めというアナウンスもなし)。もし監督が中国在住だったなら、時期的に渡航が難しかったのかもしれません。
『真臘風土記』の日本語訳を読んでから、もう一度、見直してみたい気もします。
Flavor of Amok
2019
China
Director: Sey Sambath Sipsinapanh
◎ 予告編
Trailer - Flavor of Amok